1. 目指す姿

おきなわスタートアップ・エコシステムのステークホルダーが一体的に連携して取り組むため 共有する「目指す姿」を以下のように設定します。

1. チャレンジ文化が根付いた地域

エコシステムの形成が進展し、スタートアップに対する支援が充実することで、スタートアッ プに挑戦する人が増え、短期間でExitするスタートアップが次々と輩出されていく。この成功 例がロールモデルとなり、スタートアップの活動が広く県民に浸透することで、起業家の社会的 評価は高まり、ユイマール42の精神で挑戦者を応援する文化が醸成される。スタートアップを育 む環境が良くなるほど、リスクをとってチャレンジする若者や挑戦者は増えるという好循環が社 会経済の中に内在化されることで、エコシステムはより強化され、スタートアップが自律的・連 続的に誕生し続けている。

2. 沖縄の持続的発展に寄与するエコシステムの形成

全てのスタートアップの成長を後押しするエコシステムが形成されることで、革新的な技術や創造的なアイディアを持つスタートアップによるイノベーティブなビジネスが多数創出される。優れたスタートアップと協業する県内企業のオープンイノベーションは加速され、各産業のビジ ネスイノベーションが進展することで、沖縄の経済産業は持続的に発展していく。さらに、地域 と連携するソーシャル・スタートアップも様々な分野で活躍し、沖縄の地域課題のみならず国 内・海外の社会課題の解決にも貢献しており、県民はその恩恵を享受し豊かさを実感できている。

3. 世界のエコシステムとつながり相互に発展する地域

沖縄のスタートアップがグローバルで活躍することで、沖縄のエコシステムも認知され、多くの起業家・大企業、投資家・支援者が沖縄のエコシステムに注目し、国内外からヒト・モノ・資 金・情報の集まる環境が整備されている。
また、国内外の都市のスタートアップ・エコシステム との有機的なネットワークにより連携を深め、それぞれの地域のスタートアップの成長を相互に サポートする体制が構築されており、沖縄のみならず日本そして世界のスタートアップ・エコシ ステムの発展にも貢献している。

2. 取組の方向性

沖縄におけるスタートアップの現状や課題を踏まえて本戦略が目指す姿を実現するための基本的な取組の方向性は次の4つです。

1. 多様な人材の育成と誘致

スタートアップに限らず、企業の成長の基盤となるものが優れた人材です。新たな技術や革新的なアイディアで新たな市場を切り開いていくためには、専門的な知識・技術だけでなく、経営 に関する能力や地域・国内・海外におけるユーザー・既存産業などとのコミュニケーション能力 など様々なビジネススキルが求められるため、アントレプレナーシップを備えた人材、様々な専 門性や知見を持った人材の育成・確保は最も重要な要素です。

主要都市から遠く離れた沖縄において、高度な技術を持つスタートアップや経営・財務・技術 に長けた専門人材は圧倒的に不足しているため、地域内で育成する取組に加えて、優秀な人材や スタートアップを県外から呼び込むための環境整備を進めます。

2. 成長を加速させるプラットフォームの形成

沖縄において、産業の成長や社会課題解決を牽引するスタートアップを育成・集積させるに は、目指す姿に掲げる「チャレンジ文化が根付いた地域」に沖縄が変容していくことが肝要であ り、アントレプレナー教育によりスタートアップ予備軍を育て、起業後はアクセラレーション支 援や事業サポートにより成長を加速させるような環境を構築していけるかが、おきなわスタート アップ・エコシステムの成功の鍵となります。 テック系やソーシャル系までの幅広いスタートアップが集積するエコシステムとなるには、そ れぞれのスタートアップのニーズに対応した価値あるサービス(支援)を提供する必要がありま す、このことが、スタートアップの活動を支え、成長を加速させる環境整備につながっていくのです。

3. オープンイノベーションの推進

沖縄の産業においてスタートアップに期待されることは、Jカーブによるビジネスの急成長だけではありません。スタートアップの持つ革新的な技術や創造的なアイディアは、県内全ての企 業・業界のビジネスを成長させる原動力として注目されており、その実現の手段としてスタート アップとのオープンイノベーションはこれからの産業振興においても特に有効なものとして期待 されます。また、スタートアップの成長とEXITを早期に達成する観点からも、足りないリソース (資金、人材、ノウハウ、技術、設備等)を既存の事業者のアセットで補うことは重要な要素と なります。本戦略では、スタートアップと既存事業者や地域の自治体との協働・連携によるオー プンイノベーションが創出される環境整備を進めます。

4. 国内外への挑戦を見据えた環境整備

「世界のエコシステムとつながり相互に発展する地域」を実現するためには、県内・国内・海 外における人やスタートアップ・エコシステムどうしのネットワークを開拓し、相互の連携を強 化していく必要があります。これにより、県内スタートアップによる国内・海外への事業展開を 促進するだけでなく、国内のスタートアップがアジアへ事業展開する際のハブとしての機能を提 供することにもつながり、我が国が目指す、日本全国のスタートアップ・エコシステム形成にも 寄与することになります。このため、本戦略の目指す姿の実現に向けた取組として、国内外への挑戦を見据えた環境整備を進めます。