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【コラム】スタートアップを支援する面白さ 篠原豊さんの出資の哲学

自らもスタートアップの創業経験を持ち、新規事業のコンサルティングや地域のスタートアップエコシステムの構築、さらには個人エンジェル投資も行う篠原豊さん。

「儲かる確率だけを考えるなら、エンジェルはやらない方が良い」と言いながらも、起業家への応援を続けるその喜びとは。

 

 

【篠原さんの出資の基準】

スタートアップに対して出資をするというのは、最も分かりやすい支援の方法ですよね。

私の場合は、投資しているというよりかは、資金提供をして‘リングサイドのチケットを買っている’という認識です。

事業そのものよりも、起業を志したその人間の行く末を一番最前列で見守りたい。

だからあまり事業の内容には興味がないんです。

 

さらに言うと、プロダクトも無い、公庫や銀行からも融資を受けられていないという時点で、出資を決定するということがあります。

 

どういう基準で出資を行うのか。私が考えるのは以下の3つです。

 

・攻めたいと思っている市場にチャンスがあるのか

・参入するタイミングは適切なのか

・創業チームに確かなパッションがあるのか

 

究極、これで良い。事業計画も見ない。

逆に事業計画を作っていたら投資をしないかもしれない。そういうことをしている暇があったらお客さんのところに行け!というスタンスです。

 

基本的に私は、応援したい人の人生そのものに投資をしているので、事業をピボットするくらいでは何とも思いません。会社が倒産して新しく会社を設立させるのもそう。そんなに変わらないです。その人間に惚れ込んだら、2週目も3週目も4週目も応援したいと思っていますよ。

 

【リングサイドで共に辿り着く喜び】

象徴とする話があります。

東南アジアのスタートアップなんですが、資本が溶けかけた焼け石に水のタイミングで出資をしました。企業としてはほぼ瀕死の状態だったのですが、彼らの想いに触れてその場で資金を振り込みました。

 

出資を受けるということは、裏を返せば会社継続の決定。なかなか先が描けずに、経営的にも精神的にもだいぶ辛かったと思います。

 

でも彼らはそこから粘りに粘って、3回ピボットしたのち、現在4つめの事業を行っています。最初の構想からは全く違うカタチになってるし、組織も中心メンバー2人以外は全員変わっている。

その4打席目のスイングが当たって、今ではそのスタートアップは15億円を超える評価額をもらっています。

 

他には、愛知県の当時まだ高専生だった3人のスタートアップ。

 

去年投資したばっかりでしたが、早速2年目で上場企業に買収されることになりました。

今年の3月に卒業したばっかりで、3人とも今も実家暮らし。これで億単位の売却益があるって夢がありますよね。

 

PRE-STATION AiからのEXIT第1号&篠原氏のエンジェル投資先の買収前最後のピッチ

 

【事業ではなく、あなたに期待している】

苦しい時も楽しい時も、近くで見られるリングサイドからの景色は、何事にも代えられません。

会社代表って意外と孤独で、経営の話はステークホルダーには相談できないし、人間関係の話は内部の人に吐露できない。だから私は、内にも外にも話せないことを相談されやすいパートナーになろうと意識しています。

 

また、スタートアップエコシステムの中の内側は、支援者側の人たちが温かいし情熱を持って接しています。

界隈を盛り上げようとしている支援者の人たちって、良い意味で全然経済合理性が無い!(笑)

 

だって儲かる投資先を考えたら、アメリカの株を買ってた方が良いんですから。そこは、人そのものに期待しているという部分が大きいのでしょう。

合理的な投資はベンチャーキャピタルに任せておくとして、個人エンジェルは喜びや生きがいでやっている人も多いですよ。

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