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農家の収入の柱をもっと増やしたい 「OrgaNect合同会社」 島袋優氏
農家はこんなに素晴らしい仕事をしている、もっと収入があるべきだ。
天候や価格変動の影響で、不安定な農家の売上をサポートしたいと、現役の琉球大学生2人で立ち上げたOrgaNect社。
「セカイのベランダを森に」を合言葉にした有機家庭菜園キットの販売や、農業の体験イベントを企画して、農家のマネタイズポイントを増やしている。
創業者の一人である、島袋優さんにビジネスプランとこれまでの歩みを伺った。
OrgaNect合同会社 島袋優氏
【有機栽培キットと農業体験で新たなマネタイズポイントを作る】
生粋の農業好きだという島袋さん。中部農林高校を卒業後は琉球大学農学部亜熱帯地域農学科に進学する。
「県内外の農家さんに飛び込みで畑を見させてもらうくらい、とにかく農業に触れるのが楽しくて。そこで農家さんから話を聞いていくうちに、課題が見えてきてそれを何とかしたいってずっと思っていました」
不安定な農家の収入向上に貢献できないか。そう考えていた矢先に、沖縄県内の学生の人財育成プログラムである「琉球frogs」に参加。そこで共同創業者である福原海里さんにも出会う。
「彼は経営がしたくて冷静に物事を分析するのが得意。私はひたすら農業のことを考えて突き進みたい。お互いを補完し合えると思って、一緒に起業する運びになりました」
島袋さんと、共同創業者の福原海里さん(左)
いくつかの事業プランのトライアンドエラーを繰り返して辿り着いたのが、有機家庭菜園キットの販売であった。
「畑でペットボトルを使ったプランターを作ろう!みたいなワークショップをした際に『今までの家庭菜園と違って農家さんの土だと生育が全然違う!』という声をもらったんです。それで『有機農家の土には価値がある』と。この経験から、「セカイのベランダを森に」を合言葉にした有機家庭菜園キットのアイデアが生まれました」
第1弾BIO家庭菜園キット「グリーニングキット」(3,850円 / 税・送料込み)
エンタメ体験農業と銘打ったイベントも企画する。
「そもそも畑という空間自体に価値があると気づいたんです。参加者には、結果だけでなく過程も知って欲しいということから、収穫の他にも、土作りや間引きなどもやってもらいます。小中学生には『世話をする』という体験を通して、成功・失敗の違いを考えたり、多様性を知ることにも繋がります」
上記以外にも、初めての離乳食に合わせて野菜を作る「育てるオーガニック離乳食」など食育の観点を持った事業を考案中だ。
【学生だからと甘く見られたことも】
琉球大学の学生による学生ベンチャーである、OrgaNect合同会社。学生であるという強みもある一方で、学生であるが故の葛藤もあった。
「過去には、事業を通して農家のみなさんと会う中で、『学生なのにすごいね』というような応援の気持ちが前に出て接してくれるシーンも少なくありませんでした。
ビジネスとして継続してやっていくためには、対等な目線で見てもらう必要がある。そのためには覚悟と責任を見せていかないといけない。そういう想いから、個人事業から2021年に法人設立に至りました。これに関して、lagoonなどの支援機関でサポートしてくれる方がいて助かりました」
農業のワクワクを周りにも届けたい。
日常の大半を、農業の課題解決のことを考えていると笑顔で話す島袋さんの輝きが、そのワクワクの発信源だ。
OrgaNect合同会社