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運転代行業から人・モノを運ぶ未来を変える 株式会社Alpaca.Lab
今回は沖縄スタートアップの前線を走り、事業を伸ばし続けている株式会社Alpaca.Lab代表の棚原生麿さんに
創業の経緯や今後の展望についてお話を伺いました。
目次
はじめに事業の概要を教えてください
運転代行配車アプリ「AIRCLE(エアクル)」を沖縄県内、福岡市で展開し、
現在は5万ダウンロードを超えています。
運転代行業界には「手配や待ち時間が掛かる」という課題があり、
長ければ1時間待つこともあったようですが、弊社では創業時から琉球大学と共同研究・開発を行い、
シミュレーションを緻密に行いながら最適化を重ね、需要予測のAIを駆使することで
待ち時間を現在は9分に短縮でき、運転代行業者の回転率にも貢献します。
昨年には公益社団法人全国運転代行協会と包括連携協定を結び、
今年度から全国展開も進めていこうとしているところです。(AIRCLEのご紹介はこちら https://aircle.jp/)
先ほど、琉球大学との共同研究のお話もありましたが、
早くからそういった公的機関や大学と組めた理由はなんでしょうか
琉球大学との共同研究については、
まず開発委託というアプローチにしなかったことが大きいように思います。
あらかじめ論文を読んだりして研究内容を理解し、メインとしている研究テーマに自分たちのサービスがマッチするかどうかを考えた上で話を持っていくことが大切です。
さらに先生方の知的好奇心をくすぐりそうな提案をすること、また研究にかかる費用についてもきちんとお渡しする前提で進める必要があります。そういった意味では企業間の取引や連携と変わらないと思います。
なにより、大学の先生方はとても視野を広げてくださるので、ご一緒させていただけていることをとても有難く感じています。
そもそもなぜ運転代行業界に着目したのでしょうか
また、参入するにあたって障壁はありましたか
あれば、乗り越えられた理由も合わせてお願いします
元々は琉球大学の先生との飲み会がきっかけでした。飲みの席で教授から『最適化』のアルゴリズムについて伺う中で、「一番最適化が進んでいないのは、運転代行の業界かもなぁ」という話を聞き、調べていくうちに「なんだか面白そうだな」と感じていきました。その中で運転代行業の方にお話を聞くと、「この運転代行業界の課題は、沖縄全体が持つ課題に通ずるのでは?」とさらに感じるようになりました。
その後、運転代行業界に参入しようとしましたが、最初は門前払いのところも多かったです。
その時に活きてきたのは、「自分自身が若手ベンチャーであるということ」と「琉球大学の先生と共同研究しているということ」でした。真剣に向き合っていることが伝わるのか、話を聞いてくれる状況につながったのはとても大きかったです。
AIRCLEの全国展開のお話もありましたが、
今後の展望をぜひ教えてください
運転代行はお昼に本業を持っていて夜に営業を行う方が多いからか、お昼に見つからないことも多く、利用される方には「お昼に活用する」というイメージがないと感じています。だからこそ、運転代行の新しいニーズを掘り起こし、地域インフラとして豊かな移動体験を提供できる未来をつくれたらと考えています。
例えば、自転車で駆け付け、ユーザーの自動車に自転車を積み込み、運転を行う「運転請負業」。
これを取り入れることで随伴車運転手が不要となり、1名で業務に当たることが可能になります。
他には、チャイルドシートを設置した自家用車で子どもと移動したい子育て世代や、免許を返納前の高齢者、移動中に仕事や作業をするなど自分の時間を増やしたいビジネスマンにも活用してもらったり、お金を払えば自分で運転しなくても移動ができるというサービスになっていけたらと思っています。自動運転が始動した際には、事業にも取り入れていけたらと考えているところです。
運転代行業の方、他事業者の方へメッセージがあればお願いします
運転代行業者の皆さんに、AIRCLEをもっともっと知ってもらいたいです。
AIRCLEは運転代行業界のためだけにつくられていて、運転代行業者・利用者が増えればその分みんなが幸せになる・業界全体が盛り上がっていく仕組みになっていて、売り上げが伸び悩んでいる、客単価を上げられない、といったお悩みにとても役に立ちますので、ぜひご連絡をいただきたいです。
他事業者の方にお伝えしたいのは、事業によっては実は運転代行業ととても相性が良いサービスかもしれません、ということです。
ここ最近新たに飲食店とのサービス連携を進めていて、相互集客にも効果が期待できます。運転代行は人と車輛とモノを運ぶことができるので、そこに魅力を感じていただける事業者の方(例えば、レンタカー、カーシェア、ガソリンスタンド、観光業など)と新たなサービスを一緒につくっていきたいです。
沖縄スタートアップエコシステムに期待すること、
お手伝いできることはありますか
ぜひお願いしたいことが2点あります。
まず1点目は、VCやCVC様と繋がりたいと考えています。
その他には、飲食店や石油会社のようなステークホルダーと繋がるサポートも担ってくださるととても有難いです。
ベンチャーの代表は伝え方が不器用だったり、不得手な部分があるように感じていて、
AIRCLEで言うと、「運転代行業なんです」と切り出してしまうと「市場規模が小さいね」と頭ごなしに言われてしまうことがあったり、メールで断られてしまった経験もあります。
そんな時にエコシステムに間に入ってもらえたら、運転代行業の可能性を知っていただけたり、興味を持ってもらえる環境になりやすいのではと感じます。少なくとも門前払いされてしまうことは減ると思うので、スタートアップにとってとても心強いです。
2点目は、採用に関してです。今は10名くらいの規模の会社で、リファラル採用を主に採用しています。
今後は全国展開を見越していること、運転代行業の新たな事業展開を進めていくこともあり、今以上に採用に力を入れていこうとしています。今後エージェントを活用することも検討中ですが、沖縄のスタートアップで活躍したい、一緒に運転代行業の未来を考え、事業をつくっていきたいと思ってくださる方をぜひご紹介いただきたいです。
編集後記
今回棚原さんにお話を伺い、とても印象的だったのは今年は前年比500%と、「コロナ禍でも売り上げを伸ばし、成長を続けている」ということでした。高まっていく需要に供給が追いついていないことに強い課題意識を感じていらっしゃって、だからこそ運転代行業者の方々とさらに連携し、採用にも力を入れて、事業を強化していきたいと力強く仰っていました。
「沖縄のスタートアップとともにもっともっと沖縄を盛り上げていけたら」とのお言葉もいただき、
私たちスタートアップエコシステムの重要性にも改めて気づかされる時間となりました。