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日本におけるスタートアップを取り巻く現状②〈発展戦略解説〉

1. データで見る日本におけるスタートアップの現状

国別ベンチャー投資の比較

内閣府の「スタートアップ・エコシステムの現状と課題」によれば(図15)、国別のベンチャー投資額/GDP比について、日本は0.08%で、シンガポール(2.61%)の約 3%、アメリカ(0.64%)の約13%、中国の約35%の規模となっており、他国に比べ大きく劣後しているとされています。

ラウンド別投資件数割合の国際比較

経済産業政策局の「第4回産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 資料3」によれ ば(図16)、日本とアメリカのラウンド別投資件数の割合を比較すると、アメリカはプ レシード・シード期の投資件数が全体の40~50%で推移しているのに対し、日本では20%前後で推移しており、日本におけるプレシード・シード期の投資割合は低いとされていま す。
日本において、新たな技術やアイディアを実用化・商用化するためにも、プレシード・ シード期の投資を増やすことが必要です。

日本における起業に関するデータ

内閣官房の「第1回スタートアップ育成分科会 資料3 スタートアップに関する基礎 資料」によれば(図17)、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツに比べて日本における開業率(スタートアップ以外も含む)は低くなっています

 

起業家が起業した時の年齢について

VECのベンチャー白書2022によれば(図18)、初めて起業した時の年齢層で最も多かったのは30代で全体の42.4%を占めています。それに、20代以下の29.6%、18.4% の40代が続きます。全体の約9割が40代以下で起業しており、40代以降は年齢層が高く なるほど割合が減少しています。

 

なお、Harvard Business Reviewによると21、アメリカでは、SMBを含めたすべて の創業者が起業したときの平均年齢は42歳、トップ0.1%のスタートアップの創業者が起 業したときの平均年齢は45歳でした。また、20歳から50歳中頃まで年齢を重ねるほど起 業が成功する確率が高くなるという結果が得られました。

 

 

 

 

起業しない原因について

VECのベンチャー白書2022によれば(図19)、日本における起業家が、日本で起業が少ないと考える最大の原因として、「失敗に対する危惧」をあげた人が最も多く全体の 47.9%でした。「身近に起業家がいない」が二番目に多く21.5%、次いで「学校教育」と「世間の風潮」が9.1%となっています。

 

起業にあたり最も影響を受けた人について

VECのベンチャー白書2022によれば(図20)、「起業にあたり最も影響を受けた 人」で最も多かったのは「身の回りにいた起業家(友人、先輩など)」で全体の 30.4%、次いで、「同じ思いの友人」が13.6%、「成功した著名な起業家」が12.0%となっています。身近に起業家や起業マインドを持った人がいる環境(または、コミュニ ティ)が、起業を後押しするような影響を与えています。

 

 

 

 

起業家・起業に対する社会の認識について

経済産業政策局 「第4回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 資料3」によると (図21)、日本における起業家や起業に対する社会的な評価は他の国に比べ低くなっています。

 

国の取り組み

スタートアップ育成5か年計画

日本政府は、2022年を「スタートアップ創出元年」とすることを宣言し、スタートアップ の育成は、日本経済のダイナミズムと成長を促し、社会的課題を解決する鍵である22とし て、同年11月28日、「スタートアップ育成5か年計画」を策定しました。 同計画では、旧来技術を用いる既存の大企業でも、M&Aやコラボレーションによりスタートアップの新技術を導入することで、持続的に成長可能となることが分かってきたとして、 スタートアップの創出・育成だけでなく、オープンイノベーションも重要であるとしています。

 

そして、第二の創業ブームの実現のため、ガラパゴス的思考に陥ることなく、グローバル市場に果敢に挑戦するスタートアップを生み出していくという視点を持って、スタートアップの起業加速と、既存大企業とのオープンイノベーションを推進し、日本にスタートアップを生み育てるエコシステムを創出するとしています。

 

そして、そのためには、グローバルなコネクションを持つスタートアップの担い手を発掘・育成するとともに、M&Aをはじめスタートアップへの資金供給の拡大と出口戦略の多様 化や、既存企業とのオープンイノベーションを促進するための環境整備が重要であるとしま した。
これらのことから、同計画では、以下の3本柱を定め、それぞれの取組を一体として推進していくこととしています。

 

 

①スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築

②スタートアップのための資金供給の強化と出口戦略の多様化
③オープンイノベーションの推進

 

 

世界に伍するスタートアップ・エコシステム拠点形成戦略

既存の枠組みや従来の延長では対応できない課題が顕在化する中、新たな価値創造の担い 手となるスタートアップやその基盤となるアントレプレナーシップを備えた人材の重要性 がますます高まっている一方、日本におけるスタートアップ創出・成長は停滞しており、全国の大学等におけるアントレプレナーシップの醸成状況は他の先進国に比べて低いといった 課題を抱えています。

 

また、米国のユニコーンの80%、中国の83%は拠点都市型スタートアップ・エコシステム から創出されていることを踏まえ、ヒト・モノ・カネ・情報が集積するような都市としての エコシステムの形成が重要としています。

 

これらを踏まえ、世界に伍するスタートアップ・エコシステム拠点形成戦略では、都市や大学を巻き込み、起業家教育やアクセラレータ機能を抜本的に強化することなどを通じて、 起業家がこれまでの制約を超越して日本の潜在能力を開放するスタートアップ・エコシステ ムの拠点を形成するとしています。

 

現在、4つのグローバル拠点都市(合計14自治体)と4つの推進拠点都市(合計4自治体) が選定されており、大学の研究から世界展開を見据えたスタートアップを創出・育成する、 大学を中心としたエコシステムの強化のため、政府・政府関係機関・民間サポーターによる 集中的な支援を行っています。

 

J-Startup

日本のスタートアップは増えてきているものの、グローバルに活躍する企業がまだ一部にとどまっている現状を踏まえ、革新的な技術やビジネスモデルで世界に新しい価値を提供す るスタートアップを創出するためのスタートアップ育成支援プログラムとして、J-Startup が立ち上げられました。

 

現在、このプログラムは、J-Startup(全国版)に加え、J- Startup 地域版、インパクトスタートアップ26を対象としたJ-Startup Impactが展開されています。

 

①J-Startup (全国版)
革新的な技術やビジネスモデルで世界に新しい価値を提供するスタートアップを創出するため、経済産業省により2018年6月に立ち上げられたプログラムです。 このプログラムに選定された企業(以下、J-Startup企業)は、政府や民間のサポー ター企業から、海外展開を視野に入れた集中的な支援(表3)を受けることができます。 対象は、ディープテック型、プラットフォーム型、SDGs型のスタートアップとなっていま す。 同プログラムにより、スタートアップのトップ層を引き上げ、グローバルで成長するスタートアップを創出することを通じて、ロールモデルを創出し、日本のスタートアップの プレゼンス向上と支援体制の強化を図るとしています。そして、それらの結果として、起 業家マインドを社会全体で醸成し、日本のスタートアップ・エコシステムの更なる強化を 目指すとしています。 2023年4月の時点で、238社のスタートアップがJ-Startup企業として選定されています。

 

②J-Startup 地域版

J-Startup 地域版は、国とスタートアップ・エコシステムの構築に積極的な自治体が 連携するため、J-Startupプログラムを地域へ展開したものです。その内容は、各J-Startup地域事務局が地域に根差した有望なスタートアップを選定 し、J-Startup(全国版)の支援内容も活用しながら、公的機関と民間企業が連携して 集中支援を提供するというものとなっています。
現在、J-Startup 地域版は、次の7つの地域で展開されています。「J-Startup HOKKAIDO」「J-Startup KANSAI」「J-Startup TOHOKU」「J-Startup CENTRAL」「J-Startup NIIGATA」「J-Startup KYUSHU」「J-Startup WEST」。

 

 

③J-Startup Impact

経済産業省は、インパクトスタートアップの認知向上と気運醸成を目指すとともに、官民連携での集中支援を行い、インパクトスタートアップの事業成長および社会的インパクト27の向上を促進する28として、「J-Startup」においてインパクトスタートアップを選定する「J-Startup Impact」を新設しました。

対象は、社会課題の解決や新たなビジョンの実現、ビジネスとしての持続可能な成長を 目指す、インパクトスタートアップとしての意思を持ち、社会的インパクトの向上を目指して効果的な取組を行う、日本のイノベーションを牽引する可能性を持つスタートアップ とされています。 選定にあたっては、次のように、J-Startupと共通の評価に加え、J-Startup Impact独自の評価を総合的に勘案するとされています。

 

④ J-Startup共通項目

グローバル市場で急成長し、日本のイノベーションを牽引する可能性を持つス タートアップ(経営理念、新規性、優位性、成長性、国際性、社会課題への対応など)

 

⑤J-Startup Impact評価項目

J-Startup Impact評価項目は、次の3つに分けられます。

A) インパクトスタートアップとしての意思及びその表明

B) 社会的インパクト向上を目指す効果的な取組(表4)
C) インパクトスタートアップとしての影響力・ロールモデル性

 

 

公式SNS及びこちらのウェブサイトでは、発展戦略を項目別に分け、みなさまにお届けしていきます。

発展戦略はこちらからご覧いただけます▶︎https://startup-lagoon.okinawa/cms/wp-content/uploads/2024/01/おきなわスタートアップ_エコシステム_発展戦略R05.12.pdf

 

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