トピックス・イベント情報

TOPICS

【コラム】「スタートアップ・起業家と伴走して感じること」ISCO金城励さん

ISCO(沖縄ITイノベーション戦略センター)で、「沖縄型オープンイノベーション創出促進事業 ITスタートアップ補助」事業に関わっている、金城励さん。

様々なスタートアップと伴走して行く中で、どういう志を持った人が事業の成功を切り拓ける傾向にあるのか。

自らの経験も織り交ぜながら語ってもらった。

 

金城励さん(一般社団法人沖縄ITイノベーションセンターISCO アクセラレーションセクション プロジェクトマネージャー)

 

 

【沖縄こそ ゼロ→イチ のサービスを】

前職は県内グループ企業で新規事業を担当しており、数十億円規模のM&A(企業買収)や大手フランチャイズ事業案件、植物工場企画、新ホテル建設企画などを牽引してきました。

他には、グループ内飲食店の立て直しやエネルギー資源事業に関わってきました。

 

既存企業は、長年の歴史や多数のステークホルダーを背負い、継続的に既存事業を進めていくことが求められます。そして、現在の県内既存企業における新規事業は、本土で確立されたビジネスモデルのフランチャイズ的な事業が多いと捉えております。

 

元々「1%経済」(人口が全国の1/100の規模)と言われていた沖縄の市場に、本土大手企業が直接的に参入することは、あまりありませんでした。しかし、近年、全国的に少ない人口増加県であり経済成長を続けている沖縄に、各種業界の本土大手企業が、直接参入してきております。

これまでのように、”本土で確立されたビジネスモデルを沖縄でも展開していく”タイムマシンモデルでは通用しなくなってきていると認識していて、今後、県内既存企業が維持および発展していくためには、自社サービスの業態開発や新規事業開発が必要だと考えております。

 

一方、スタートアップは、リスクを取りながらスピード感を持って、世の中にまだ存在しないサービス、いわゆるゼロ→イチの新規事業開発に取り組んでおります。しかし、既存企業とは違い、資金や人材のリソースが足りなかったり、信用が弱いために新たな顧客獲得資金調達に苦労することも多いです。

 

このような中、私は、沖縄の既存企業は、協業や出資等を含めて、スタートアップと積極的に関わった方が良いと考えております。既存企業は、業態開発の機会を得られたり、新規事業開発の知見を得たり、投資効果が期待できます。

また、スタートアップにとっては、ビジネスプランをブラッシュアップできたり、既存企業からの”信用のお裾分け”によって、初期顧客の獲得や資金調達を得られやすくなり、事業の成功確率が向上すると考えております。

 

このような想いから、既存企業とスタートアップをお繋ぎする「沖縄ベンチャーフレンドリー宣言」という活動について、主要な県内既存企業の皆さまにお声かけし、ご賛同頂き、事務局を務めております。ここ沖縄でも、期待できる起業家が増えておりますし、各企業の新規事業担当者は高い志を持っている方が多く、両者を上手く結び付けたいと考えております。

 

 

【課題解決から入るスタートアップは強い】

スタートアップ起業に取り組み、事業化までに至る多くの起業家には、共通点があります。それは、自らの原体験から生まれた、”この社会課題を、解決したい!”という熱い想いです。

 

「スタートアップで起業をしたい」「自らITプロダクトを作れるから、何かやりたい」というパターンの中からも、もちろん成果を出している方はいます。しかし、自らの原体験からくる社会課題に対して、熱い想いを持たれている起業家は、本質的な解決策に早く辿り着いたり、事業化の壁にあたった際に様々な知見を持った方々からいろいろな協力を得られたり等、事業化および事業成功確率が高いです。

スタートアップ起業は、リスクが多い起業スタイルのため、誰しもにはお勧めしません。ただし、”どうしても解決したい社会課題があり、方法として、スタートアップではないと解決できない”という場合に、大変有効な起業スタイルです。どうしても解決したい社会課題を持っている方、まずはお話を聞かせて頂きたいです。

 

最後に、スタートアップに限らず、オーナービジネスやローカルベンチャーの手法でも、熱い想いで社会課題に取り組む姿は美しいと思います。今後、スタートアップもオーナービジネスもローカルベンチャーも応援していきたいです。また、本気で解決したい課題があれば、多くの方がチャレンジできる環境や社会作りの一助になりたいと考えております。

 

金城励さん(右)

有限会社StudioLJ代表取締役、沖縄出身の高江洲睦(たかえすまこと)さんと。

記事をシェアする

アーカイブ

タグ