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コラム「県外に進出したスタートアップ、それでも沖縄に貢献したい想い」
ビジネスの規模を拡大していくために、東京をはじめとした県外で勝負する沖縄出身の起業家も多い。
そんな中でも地元・沖縄のために貢献できることはないかと、想いを温めている人も少なくないという。
実際に、地元に対してどのような志を向けてくれているのか。
東京と沖縄で二拠点を構え、自らも東京で起業経験を持つ、沖縄スタートアップ支援協会の兼城駿一郎さんに話を伺った。
【東京で就職、そして起業。自身の経験は】
学生時代からITや経営、プログラミングの分野が好きで、ビジネスコンテストやプログラミングコンテストに出場したり、琉球Frogsという人財育成プログラムでシリコンバレーに行ったりしていました。
その後は、その経験を活かして東京に本社があるリクルートに就職したんですが、その時に思ったのが「なぜ東京に行かなならんのだ」と。
もし沖縄にGoogleがあったなら、僕はそこを選んだだろうと考えたんです。
東京に行った理由は単純です。「そこでビジネスが回っていたから」なんですよね。スキルや経験やネットワークを持っている人が集まっている場所だったから。
東京で就職することを決めた際に、「30歳には沖縄に戻れるようにする」と決意しました。実際に東京で働いている間も沖縄への想いは変わらず、自分の力で戻れるようにスキルを磨いたりスタートアップを立ち上げたりしていました。
リクルートで働きながらSNSの分析ツールの会社を立ち上げたり、退職後にその会社と並行して高専の現役生/卒業生のコミュニティ運営をする会社を立ち上げまして、それらの会社をバトンタッチしたり売却したりして、自分のなかで一区切りついたので沖縄に戻ってきました。
それからは、地元である沖縄から世界を狙える会社を創るために「(一社)沖縄スタートアップ支援協会」を立ち上げます。
沖縄には‘挑戦する起業家’と‘応援する投資家’が集まる素地がある。沖縄版のシリコンバレー、僕らは「コーラルバレー」と呼んでいるんですけど、このエコシステムを盛り上げて、沖縄から勝負するスタートアップを増やしたいです。そうすれば自ずと各地で働いている沖縄出身者もどんどん戻ってくると思うんです。
県内外の起業家・投資家が集まるイベント「コーラルピッチ」オリオンビールを片手に
【本当は沖縄でビジネスを伸ばしたいと思っている経営者は多い】
僕以外にも、ビジネスの規模を大きくするために東京に来たけれども、本当は沖縄に帰りたいと考えている経営者も少なくないと感じています。
そもそも、仏壇や墓を継がないといけないって人が結構いる。ネガティブな意味じゃなくて家族としてのプライドを持ってのことです。
コロナの功罪で、リモートワークが当たり前になったのは本当に追い風で、沖縄に移転したり第二創業を考えている経営者が出て来た気がします。
また、地元へどう貢献するかと考えている県出身の経営者は多いですよ。経済合理性だけを考えるんだったら、東京のメンバーでチームを組めば済むんですけど、沖縄県出身者の採用枠を設けたり、沖縄に営業所や支店を作ったりしている企業もあります。そして不思議なことにそれがビジネス上の強みになったりもしている。
沖縄出身者同士が集まることで生まれるパワーがあるんでしょうね。
沖縄のためを想って動いてくれる経営者がもっと増えていくと、志ある若い人が更に挑戦しやすくなりますよね。